FPSゲームタイトルによっては、サウンドでのアドバンテージをまだ強化できる可能性があります。
本記事では、イヤホンで前後左右の音が分かるHRTFの簡単な説明と、ゲーム側・DAC側の処理の違いを解説します。
イヤホンは左右2つだけなのに、なぜ前後の音まで分かるのか?
一般的に、イヤホンから出ている音は、「左」と「右」の2チャンネルだけです。
それにもかかわらず、ゲームをプレイしているときには、
- 前から聞こえる音
- 後ろから聞こえる音
- 斜め方向から近づいてくる足音
- 上下や距離感のある銃声
などを、感覚的に聞き分けることができます。
これは、ゲーム内の音をそのまま左右に振り分けているだけではなく、HRTF(頭部伝達関数)と呼ばれる技術を使い、人間が音の方向を判断しやすい状態に加工しているためです。
この動画では、耳のひだ(耳介)が音の方向の手がかりになっていることを実験で解説しています。
(耳介を粘土で埋めて形を変えてしまうと、音の方向がわからなくなる)
人間は、左右の耳に届く音量や到達時間の違いだけでなく、耳や頭の形によって生まれる細かな音質の変化からも、音が前後左右のどこから来たのかを判断しています。
HRTF処理では、こうした音の変化を再現することで、左右2つのイヤホンだけでも立体的な方向感を表現できるように処理しています。
HRTFの完成度は、ゲームによって異なる
一般的には、ゲームのサウンドエンジン側でHRTF処理を行い、処理後の2チャンネル音声をイヤホンへ出力します。

ただし、HRTF処理の仕様やチューニング、完成度は、ゲームやサウンドエンジンによって異なります。
ゲームによって、
- 「左右は分かるけれど、前後が判別しにくい」
- 「後ろの音が前から聞こえることがある」
- 「斜め方向や距離感がつかみにくい」
と感じた経験がある方もいるのではないでしょうか。
これは必ずしもイヤホンだけが原因ではなく、ゲーム側で行われているHRTF処理との相性や完成度が影響している可能性があります。
DAC側でHRTF処理を行う方法もある
ゲーム側のHRTF処理が合わない場合には、ゲームから7.1チャンネルなどのサラウンド信号を出力し、DAC側のプロセッサ(DSP)でHRTF処理を行う方法があります。

このパターン2では、ゲーム側では立体音響処理を行わず、各方向ごとの音声情報をDACへ送り、DAC側でイヤホン用の2チャンネル音声へ変換(HRTF処理)をします。
ゲームや使用環境によっては、この方法に切り替えることで、前後の判別や方向感が改善される場合があります。
一方で、すべてのゲームでDAC側の処理が優れているわけではありません。
ゲーム側ですでに高い水準のHRTF処理が実装されている場合には、無理に外部で処理せず、パターン1のまま使用した方が自然で正確に聞こえることもあります。
つまり、どちらか一方が常に正解というわけではなく、
「ゲーム側のHRTF処理」と、「DAC側のHRTF処理」をゲームタイトルごとに使い分ける
という考え方が重要です。
ゲームによって音の聞こえ方に違和感があるときは、イヤホンやイコライザーだけでなく、音がどこでHRTF処理されているのかにも注目してみると、改善の糸口が見つかるかもしれません。
HRTF処理に対応しているDAC/AMPの機種
- Qudelix T71
- Roland BRIDGE CAST ONE
- Roland BRIDGE CAST
- Roland BRIDGE CAST X
- EPOS(Sennheiser) GSX 1000
- EPOS(Sennheiser) GSX 1200 Pro
ゲーム側のHRTF処理が優秀な場合
ゲーム側でHRTF処理を行うパターン1では、DAC側にHRTFやバーチャルサラウンド機能は必要ありません。
そういった場合には、
- 音の解像度
- ダイナミックレンジ
- S/N比
- ノイズの少なさ
といった、音声信号を正確に再生するための基本性能を重視した方が、良好な結果を得られる可能性が高いです。
近年は、USB Type-Cで接続する小型のドングル型DAC/アンプにも高性能な製品が多く、ゲーム用途でも十分に使用できます。
また、音楽制作やDTM向けのオーディオインターフェースも、余計な音響処理を加えず、音を正確かつ低ノイズで出力することを重視した機種が多いため、パターン1との相性が良い傾向にあります。
HRTF処理サウンドが最適になるようにチューニングしたHID-Labs製イヤホン「DETECT」も、ぜひよろしくお願いいたします!
DETECTと組み合わせるDAC/アンプにはQudelix T71やQudelix 5Kがおすすめです!
