センサーとトラッキング面との距離の検証

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初めに

先日公開した「マウスセンサー周りのソールについての考察」は多くの方にご閲覧いただき、また国内トッププロの方にリツイート頂くなど、大きな反響がありました。

今回はそれに関連し、センサーとトラッキング面との距離が変動した時にどの程度DPIに変化が生じるのか検証を行いました。

前述の記事内ではPixArts社のセンサーのデータシートについて言及していますが、本記事ではLogicool社のG Pro Wireless(G-PPD-002WL)のHERO16Kセンサーにて検証しています。

今回の検証に当たり、THK社のLMガイドアクチュエータ三明電子産業のサーボモーターとサーボアンプを用意しました。
アクチュエータのリードは10mm、サーボモーターのフィードバックエンコーダーは2000pprを4逓倍しています。
つまり、0.00125mm単位で位置決めが可能です。

マウスパッドは新品ではないですが、Steelseries社のQcK miniをカットして使用しています。

検証方法

  1. アクチュエータにマウスを両面テープで貼り付け、1インチ(25.4mm)移動させる。
  2. MouseTesterでそれを記録する。
  3. アクチュエータとマウスの間に0.1mmのマスキングテープを貼り、トラッキング面とセンサーの距離を0.1mmずつ増やして1~2を繰り返す。

注意していただきたいのは、1の段階で本来のセンサーとトラッキング面との距離ではないということです。
つまり、最初の試行の段階ではセンサーとトラッキング面距離がx[mm]になり、
以降「x+0.1[mm]」「x+0.2[mm]」・・・となります。

検証結果

まず、MouseTesterで取得したデータのxSum vs. Timeを使用します。
これは実際に移動したカウント数を見るのに便利です。

アクチュエータで移動させたxSum vs. Timeのグラフの全景は次のようになります。

検証を行って、必要な箇所を拡大したデータは次の通りです。

マウスのDPI設定は800DPIです。

データから数値を取り出すと次のようになります。(移動カウント数の絶対値を使用します。)

  • 距離x[mm]のときに1インチ移動させたときのカウント数は約710カウント
  • 距離x+0.1[mm]のときに1インチ移動させたときのカウント数は約727カウント
  • 距離x+0.2[mm]のときに1インチ移動させたときのカウント数は約747カウント

このように、たった0.1mmでもセンサーとの距離が変化するとDPIにも変化が及びます。

例えば800DPIで振り向き25cmになるように設定してプレイしていて、10cmのフリックショットを行った場合、たった0.1mmのセンサーとマウスパッドの距離の差が約67カウント分のずれ、つまり本来の移動させた感覚から約2mm分ずれを生じさせます。

このようなデータから、前回記事のセンサー回りのソールの意義について、裏付けの一つになったのではないでしょうか。

マウスを固定する治具が完成したらセンサー回りのソールの有無によるDPI変化の検証も行ってみたいと考えています。

また、マウスは量産品ですが、製造時の個体差がセンサーの高さ回り・ソールなどに生じていれば、DPIの値に個体差が出てくることも考えられます。